【新世界探索編】小さな学会

【新世界探索編】の新世界というのは、
「今までの研究からは若干距離を感じる世界」です。

有機反応の開発ばかり10年以上やってきてるけど、その応用展開を考えて神戸に来たわけです。
展開するには自分の枠を超えないといけないのだから、新世界が必要なのは言ったら当然です。
そんなわけで、先週「日本分子イメージング学会」に行ってきました。
この投稿は、忘備録みたいなものです。

分子イメージングとは、分子を見えるようにする技術のことです。
身の回りには無数に分子があるはずなのだけど、僕らが見ているのは分子の集合体であって、その一つ一つは見えません。だから、分子を見たいのであれば色々な工夫が必要なわけです。例えば分子が何らか信号を発するようにするとか、分子に特別な光を当てて光らせるとか、そういうことです。分子が見えると何が嬉しいの?というと目的次第でいろいろですが、お薬が体内のどこに行ったかが見えて、本当に期待した高価を発揮しているかどうかが判断できます。最近ではがん細胞を光らせることで、外科手術での切り落としを防ぐなどのことが実現できています。

すると分子イメージングでhappyになるのは医薬方面の世界の方々が多いのだけど、そこは分子。分子をいじれるのは化学者(もっと言うと有機化学者)しかいないのだから、僕らが仕事をしなければいけない分野なのです。
ですが学会は華々しい結果が並ぶので、化学はスルーで大体医薬、生物系のお話ばかりです。色々聞いていて寂しい気もしたけど、そんなことは覚悟の上だったからしかたがないのです。


学会に参加して感じたことはいろいろあったのだけど、一番強く思ったのが
「狭い世界だな・・・」ということ。
規模も決して大きくないし、発表者のほとんどが関係者じゃないのかというレベル。
例えば、
・蛍光といえば◯◯研、という風に技術が一部のラボに偏ってる
・共同研究者がそれぞれ発表しちゃってる
・海外からinviteしてきた講師の後に、そのラボのポスドク経験者が講演してる
凄いなと思ったのが
・座長と発表者が同一ラボ
こんなことがありうるのか。学生っぽい講演者の名前を呼ぶ先生がぎこちなかった気がするぞ。
小さな学会ならではの特徴がここに表れているのでしょうか。うーん。

考えてみれば自然なことで、分子イメージングのような学際領域の研究は、どうしてもプレイヤーが少なくなりがちだと思います。学際領域にいる先生の専門は多岐に渡るわけで、ここだけが自分のフィールドではないはずです。研究の展開の中でこの領域を一時的に離れる人もいるだろうし、学会全体の流れもあるはず。学際領域の維持と拡大は、とても難しい話じゃないかと思います。小さい組織から始めて学会を拡大する過程で共同研究などもするだろうけど、声かけやすい理解者が学会参加者と大きく重なるだろうし、関係者だらけの学会になりがちなのかもしれないですね。

僕のホームの有機金属化学討論会は参加者は常に多く、発表者のレベルも高いです。これは学会が長いこと続いてるのも一因だけど、それより対象分野が基礎科学なのが大切ですよね。ここを軸に手を伸ばすことはできるけど、他が軸で有機金属に手を出す人は少ないというか。基礎ってそれだけで面白いし、掘ったら掘っただけ面白いことが見つかる(と思っている人は多い)ので、社会の流行り廃りに左右されず長続きするんじゃないかなって思います。分子イメージング学会とすごく対照的な気がしました。


学会の細かいことはアレですが、まあ異世界でした。
また再来週、新世界探索編第2弾があるので、異世界を堪能してこようと思います。
なお、第3弾の予定は今のところありません。
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by dirniw | 2013-06-05 22:10 | lab


もうどこに行くか全くわからない。相変わらずマイペースな日常を綴っていきたい・・・なぁ


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